森次医院では海外赴任、出張、留学、ボランティア活動、観光など、海外 旅行のための予防接種や健康相談などを専門に行っています。

感染症情報

飛沫感染及び空気感染

1. ウイルス感染症
小児期の感染症(麻疹、風疹、おたふくかぜ、水痘など)

麻疹は空気感染で広がりますが、風疹、おたふくかぜ、水痘などは主に飛沫感染です。これらは主に小児期に感染しますが、抗体が陰性の大人も感染します。麻疹は発熱と発疹は主症状ですが、時に脳症を起こすことがあります。風疹は「三日はしか」とも呼ばれる麻疹様の病気です妊娠初期に感染すると、胎児感染により心臓奇形、白内障、聴力障害などを持つ先天性障害児が出生する危険があります。おたふくかぜは耳下腺腫脹を伴う病気ですが、後遺症として内耳性難聴が残ることがあります。思春期以降の感染により睾丸炎が発生することがあります。水痘も発疹性疾患ですが、回復後にウイルスが長期間神経根細胞に留まり、後年、帯状疱疹が発生する危険があります。これらの疾患は予防ワクチンで防ぐことができます。予防接種を受けたことが無い人、発病したことも無い人などは旅行に出かけない場合にも予防接種が勧められます。


インフルエンザ

病原体:インフルエンザウイルス
ワクチン:インフルエンザHAワクチン、経鼻生ワクチンなど
治療薬:アマンタジン(シンメトレル)、オセルタミビル(タミフル)など。
インフルエンザウイルスは、元来、鳥類に感染するウイルスです。トリインフルエンザウイルスが突然変異によりヒトに感染する性質を獲得してヒトのインフルエンザウイルスが誕生したと考えられています。過去に何千万人も死亡した全世界的大流行があり、現在も、毎年の様に流行が繰り返されています。ヒトのインフルエンザウイルスはA型、B型、C型の3種類があります。流行するのはA型とB型です。C型は散発的です。ウイルス粒子の表面にHと呼ばれる抗原基とNと呼ばれる抗原基があり、A型ウイルスでは、Hが15種類、Nが9種類に細分されています。この2種類の抗原基のために、インフルエンザウイルスには非常に多種類の亜抗原活性を持つことになります。そのために、毎年、流行ウイルスの抗原型が少しずつ変化し、流行が繰り返されることになります。鶏卵でウイルスを増やし、精製したワクチンが作られていますが、抗原の変化に対応させるために、世界保健機関(WHO)が中心になり、インフルエンザウイルスの監視網が作られ、ワクチン製造用のウイルス株が選定されています。日本のワクチンは精製不活化ウイルスを壊し、血球凝集素(HA)を集めて作られています。また現在世界中で家禽などの大量死を起こしている高病原性トリインフルエンザウイルスAH5N1型がヒトに感染し、既に数百人が死亡しています。間もなく新インフルエンザウイルスが誕生するのではないかと危惧され、WHOが中心になり、ウイルスの監視、新ワクチン開発と備蓄、治療薬の備蓄などの対策が進められています。
以前は対症療法でしたが、最近、オセタミビルなどの抗インフルエンザウイルス剤による治療が行われています。インフルエンザの予防はワクチン接種が主ですが、流行期にはマスクなどを着用して鼻腔や咽頭を保護すること、外出から帰宅した時の嗽や手洗いなども大切です。


重症急性呼吸器症候群(SARS)



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2.細菌感染症
レジオネラ症

レジオネラ菌による日和見感染です。飛沫感染や空気感染で広がります。健康なヒトは感染しても発病しませんが、免疫が弱いヒトや高齢者は肺炎を起します。この菌は世界中に存在し、自由生活型アメーバ原虫の腸管の中で殖えます。大きいものは、管理の悪い循環型の温泉、浴場、ビルの冷却塔、小さいものは自動車のエアコンなどで自由生活アメーバが増えて汚染され、危険になります。ワクチンはありません。ニューキノロン系の抗菌薬などで治療します。


結核

結核菌の感染症です。飛沫感染や空気感染により広がる肺結核が主な病気です。慢性の直りにくい病気で、抵抗性が弱い場合には粟粒結核や結核性髄膜炎などが起きます。一時期、国民病と言われた時代がありましたが、化学療法などにより少なくなりました。予防ワクチンはBCGです。平成15年以来、乳児期の接種だけになりました。治療は化学療法で行います。イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミドその他が使用されます。医療スタッフの監視下で服薬するDOTS(Directly observed treatment, short-course)の効果が顕著とされ、世界中で実施されています。最近、多剤耐性結核菌(Multi-drug Resistant Tuberculosis)が話題になっています。中でも特に危険なイソ二アジド、リファンピシンを含む抗結核剤に抵抗性の結核菌感染患者の出現が確認され、死亡率が異常に高いことなどから、2006年に世界保健機関(WHO)で開催された専門家会議によりExtensively Drug-Resistant Tuberculosis(XDR−TB)と命名されました。日本語では広範囲薬剤耐性結核菌とか超薬剤耐性結核菌などと呼ばれていますが、手術による病巣の切除以外に治療法が無い危険な病気です。


ジフテリア


流行性(髄膜炎菌性)髄膜炎

この病気は髄膜炎菌による病気で、飛沫感染により、ヒトからヒトへ広がります。わが国では稀ですが、欧米では局地的小流行が繰り返されています。主に小児が感染しますが、大人も感染し、適切な治療を行わないと死亡します。サハラ砂漠の南に髄膜炎ベルトと呼ばれるA群菌による流行地があり、毎年、12月から6月までの乾季に多発します。メッカ巡礼者の間にも流行があり、予防接種証明書の携行が要求されています。ペニシリンGなどで治療しますが、耐性菌が出現したためにワクチンが注目されています。数種類のワクチンが作られていて、流行地の菌の血清型により選んで使用します。予防はワクチンを接種すること、埃が舞い上がる季節に人ごみの中に出かけないこと、帰宅時に手洗いとかウガイをすることなどです。

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3.リッケチア感染症
Q熱

オーストラリアで発生した原因不明熱に由来する名前です。自然界では多種類の哺乳動物が病原リケッチアに感染し、マダニが媒介していますが、ウシ、ヒツジなどの家畜が感染すると、糞や尿などから病原体が排泄され、空気感染が起きます。生の牛乳を飲んで感染することもあります。ヒトからヒトへの感染はまれです。症状が出ない不顕性感染が多いと考えられていますが、発熱、非定型肺炎、肝機能障害、心内膜炎などが起きます。テトラサイクリン系などの抗菌薬で治療します。オーストラリアではQ熱ワクチンが牧畜業の作業者に使用されていますが、他の国では使われていません。家畜の出産時期に感染が多いと言われています。畜舎作業には防塵マスクの着用がよいでしょう。

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4.真菌感染症
ヒストプラズマ症

ヒストプラズマは鳥類やコウモリの腸管に寄生しています。胞子が糞中に排泄され、塵埃と一緒に吸い込んで感染します。ヒトからヒトへの感染はありません。米国のミシシッピ川の流域、中央アメリカ、南アメリカ、カリブ海諸国、アジア諸国、欧州諸国など、広範囲に存在します。感染者の90%は無症状で、約10%に軽いインフルエンザ様の症状が出ますが、2〜3週後に自然に治癒します。コクシジオイデス真菌症と同様に高齢者とか免疫の低下したヒトは重症になります。ワクチンはありません。アンホテリシンBなどの抗真菌剤で治療します。感染が危惧される場合には、あらかじめ水撒きなどをして埃を抑えるとか、防塵マスクを着用します。


コクシジオイデス真菌症

米国アリゾナ州を中心とする一帯、アルゼンチン、ブラジルその他の苛烈な乾燥地帯の病気で、渓谷熱と呼ばれています。病原体はコクシジオイデスと呼ばれる真菌の一種で、塵埃と一緒に胞子を吸い込んで感染します。ヒトからヒトへの感染はありません。半数以上は無症状ですが、軽いインフルエンザ様の症状が一過性にでる場合があります。高齢者、糖尿病などの基礎疾患があり免疫が低下しているヒト、エイズ患者などは重症になります。ワクチンはありません。フルコナゾール、アンホテリシンBなどの抗真菌剤で治療します。予防は防塵マスクの着用です。

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